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風間内科通信

令和2年

12月号 日常生活の中でできるレジスタンス運動~自転車こぎの動きで下腹腹筋を鍛える~

1.日常生活の中でできるレジスタンス運動~自転車こぎの動きで下腹腹筋を鍛える~

最近では腹筋を強化することが、高齢者の平衡感覚や歩行能力の改善につながると報告されています。ただし、一般的に行われている上体を起こす腹筋運動は、高齢の方ではかなりきついと感じる人も少なくありません。そこで手軽に無理なく行える方法をご紹介します。まず、足を伸ばして床に座ります。続いて両手を腰の後ろにつき、両足を床から離します。そして自転車のペダルを踏むように、両足を交互に伸ばします。この際に踵は床につけないよう注意しましょう。左右を1回として、この動作を10~12回繰り返し行います。

2.運転中に低血糖を来たさないよう予防をしっかり行いましょう

自動車を運転する高齢2型糖尿病患者さんは、とくに低血糖に注意が必要です。運転中に低血糖で意識がなくなれば、大事故になる可能性もあります。高齢者の低血糖は冷や汗や震えなどの症状が出にくく、頭がくらくらする、体がふらふらする、めまい、脱力感など典型的でない症状が起こる場合があることに注意する必要があります。また、車内にはブドウ糖や砂糖、ジュースなどのブドウ糖を含む食品などを常備しましょう。運転中にいつもと違った症状がある場合には、速やかに安全な場所に停車し、糖質を補給して十分な休憩を取りましょう。

11月号 日常生活の中でできるストレッチ運動~タオルを使って体側を伸ばす運動~

1.日常生活の中でできるストレッチ運動~タオルを使って体側を伸ばす運動~

体側にある腹斜筋は、内臓の保護や寝ている状態から体を起こすために使うだけではなく、姿勢維持の役割も果たしています。上半身をまっすぐに保ち正しくストレッチするために、今回はタオルを使ったストレッチ運動を紹介します。まずタオルを体の後ろに回し、右腕を上に左腕を下にして両端を握ります。そのままタオルを右手で上に引っ張りながら体をゆっくりと左側に倒し右の体側を伸ばします。最も伸ばした状態で20秒姿勢を保持したら、ゆっくりと元に戻します。左右1セットで5セット程度行いましょう。

2.糖尿病腎症は血圧が高い人ほど進みやすい

腎臓の働きは加齢と共に悪くなります。2型糖尿病患者さんでは、血圧が高い状態が続くと糖尿病腎症が悪化し、腎臓の働きがさらに悪くなります。糖尿病腎症が進行すれば人工透析になるなど日常生活に影響が出てくる可能性もあります。

高血圧を合併した2型糖尿病患者さんは、血圧も適切な管理が必要です。主治医に相談して、生活の質を落とさずに塩分をうまく制限するような食事の工夫を心がけましょう。

10月号 日常生活の中でできる有酸素運動~階段や玄関の上り口を利用したステップ・エクササイズ~

1.日常生活の中でできる有酸素運動~階段や玄関の上り口を利用したステップ・エクササイズ~

ステップ・エクササイズは自宅でも手軽にできる有酸素運動です。ふだんの階段の昇り降りでは、昇りは心臓、降りは膝のどちらか一方により負担がかかりますが、ステップ・エクササイズなら、バランスよくトレーニングできます。踏み台の高さは20~40㎝程度が基本ですが、体力に自信のない方は、高さが15㎝程度の階段や玄関の上り口で行いましょう。毎分18~20回の速さで5分程度が目安です。もしきついと感じたら、テンポを緩め、物足りないと感じたら逆に速めることで運動の強度を調整してみましょう。

2.高齢2型糖尿病患者さんはフットケアが大切です

血糖値が高い状態が続いていると、神経障害によって足の痛みやしびれを感じにくくなっている可能性があります。足に傷があっても気づきにくいため、傷口から感染した状態を放置してしまい、組織の一部が壊死する足壊疽に侵攻することもあります。このようなことを防ぐために、血糖を良好に保つとともに、足に傷やウオノメ・タコなどがないかをご自身でも確認し、見つけた場合にはすぐに主治医の先生や看護師に相談し適切な治療を受けましょう。

9月号 日常生活の中でできるレジスタンス運動~椅子を使った足のトレーニング~

1.日常生活の中でできるレジスタンス運動~椅子を使った足のトレーニング~

筋力の低下は、立ち座り、歩行、階段の上り下りなど日常生活に支障をきたす原因になる他、転倒による骨折や加齢に伴う運動器疾患のリスクにもなります。そこで今回は特に重要な太腿の筋力を鍛える運動を紹介します。膝が90度以上に曲がらない程度の椅子を用意し、深く腰掛けるようにお尻をゆっくりとおろし、完全に座りきらない状態から、ゆっくりと立ち上がります。少しキツイと感じるようなら机に手をついて行いましょう。1セット5~6回で繰り返し、1日3セットを目安に行ってみましょう。

 

2.高齢2型糖尿病患者さんのめまい、脱力、眠気は低血糖の警告

2型糖尿病の治療において血糖値を下げることに意識を向けすぎると、逆に血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうこともあります。重度の低血糖は意識消失による転倒や骨折などの危険があるほか、最近では認知症の発症リスクを高めると言われています。高齢者の低血糖症状は、めまいがする、体に力が入らない、眠くなるなどの非典型的な症状がよくみられます。低血糖の対処法について、主治医の先生の指示に従い、糖分(ブドウ糖)を速やかにとるなどしましょう。

8月号 日常生活の中でできるストレッチ運動~壁を使ってふくらはぎとアキレス腱を伸ばすストレッチ~

1.日常生活の中でできるストレッチ運動~壁を使ってふくらはぎとアキレス腱を伸ばすストレッチ~

高齢者では、足関節の柔軟性が低下し、つま先が上がらなくなるなどにより転倒のリスクが高まります。そこで今回はアキレス腱の柔軟性を高めるストレッチ運動を紹介します。まず、壁に両手をつき右足を前に出した状態で足を前後に開きます。この時、左右のつま先は平行にし、後方の左足はかかとをしっかり床につけます。そのままゆっくり右足を軽く曲げ、腰を壁に近づけるようにして左足のアキレス腱とふくらはぎを伸ばし20~30秒維持します。左右を入れ替え、同じ動作を行います。これを1~3回繰り返します。

2.高齢2型糖尿病患者さんの動脈硬化による心疾患と脳卒中

高齢2型糖尿病患者さんでは、高血糖により血管が弾力性を失う動脈硬化が進行し、その結果、心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなります。国内の調査において糖尿病患者さんの心筋梗塞や脳卒中の発症率は、血糖値が正常な人の2倍以上と報告されています。心筋梗塞や脳卒中は、命にかかわるだけでなく、後遺症で日常生活に大きな支障をきたすことが少なくないため、日頃からの血糖管理が重要です。ご自身にあった血糖目標値と治療方法について主治医の先生と話し合ってみましょう。

7月号 日常生活の中でできる有酸素運動~腰に負担の少ない後ろ向きの水中ウォーキング~

1.日常生活の中でできる有酸素運動~腰に負担の少ない後ろ向きの水中ウォーキング~

 加齢により筋力が低下し、転倒リスクが高くなっている高齢者では、陸上と比べて転倒の危険性が少なく、関節への負担も軽減される水中ウォーキングがお薦めです。

 特に、水平方向へ動くウォーキングは、水の抵抗により筋力の維持向上が期待でき、また、腰に不安のある方はエビのように腰を曲げ、後ろ向きに歩くことで腰への負担も軽減できます。主治医の先生に相談の上、1回20~30分程度で週に2回を目安に行ってみましょう。

2.高齢2型糖尿病患者さんの日常生活に支障をきたす歩行障害

 2型糖尿病患者さんで高血糖が続くと神経障害を起こす可能性があり、足指や足裏のしびれなどの初期症状のほか痛みを伴うこともあります。また、高血糖は動脈硬化を招き、足の血流を悪化させる可能性があります。こうした結果、足に力が入らないなど歩行そのものが困難になり、日常生活に支障をきたすことも考えられますので、高血糖を是正することが重要です。適切な血糖コントロールに向けて主治医の先生と相談しながら、ご自身のライフスタイルに合った治療に取り組みましょう。

6月号 日常生活の中でできるレジスタンス運動~開眼片足立ちで平衡機能と筋力トレーニング~

1.日常生活の中でできるレジスタンス運動~開眼片足立ちで平衡機能と筋力トレーニング~

 高齢の方は、ちょっとした転倒が骨折やその後の寝たきりといった重大な結果を招くこともあります。そのため、普段から平衡感覚と脚の筋肉を鍛えておくことが大切です。その両方を一度に鍛えられるのが開眼片足立ち運動です。
 目を開けたまま片足を床からちょっとだけ浮かせ、1分間その姿勢を保持します。これを左右1回ずつ、朝晩行います。例えば、洗面所の鏡に向かっているときに行えば、自分の上体のふらつき具合を鏡で確認しながら行うことも可能ですので、自分のふらつき具合を確認しながら行いましょう。

 

2.高齢2型糖尿病患者さんの立ちくらみ、発汗、手のふるえ、動悸は低血糖の警告

 高齢2型糖尿病患者さんでは、低血糖による転倒や認知症のリスクがあるため、特に注意が必要です。低血糖による自覚症状は手のふるえや動悸、冷や汗などさまざまで、個人によって異なります。このような症状が出た場合にはすぐに飴やブドウ糖、砂糖を含む清涼飲料水を摂りましょう※。ただし、高齢になると低血糖になっても自覚症状が出にくくなっていることもあります。普段から主治医の先生とご相談し、低血糖予防に努めましょう。

※α-グルコシターゼ阻害薬を服用している際は、必ずブドウ糖を摂ってください。

5月号 加齢に伴ってインスリン分泌が低下する?

1.加齢に伴ってインスリン分泌が低下する?

 高齢2型糖尿病患者さんでは、加齢とともに耐糖能が低下していくことが知られています。これは加齢に伴うインスリン分泌機能の低下に加え、運動不足、筋肉量の減少や内臓脂肪が蓄積することによるインスリン抵抗性の増大なども関係しています。
 そのため、合併症や生活環境に合わせた食事、運動、薬物療法が重要です。主治医の先生とご相談しながら、ご自身にあった生活習慣を考えてみましょう。

2.日常生活の中でできるストレッチ運動~椅子に座って太もも裏を伸ばすストレッチ運動~

 国内の地域住民調査で3割を超える人がひざの痛みを訴えていることが分かっています。膝痛の原因は太ももの裏にある通称ハムストリングスと呼ばれている筋肉の柔軟性が失われることがその1つと考えられていますので、その部分のストレッチを紹介します。
 椅子に背筋を伸ばし浅く腰掛けます。右足を90度に曲げ、左足を伸ばします。太ももに手を置きながら、股関節から曲げるように、上体をゆっくりと前に傾けていきます。20秒程したら起き上がります。これを左右の足で3回程度行います。

4月号 日常生活の中でできる有酸素運動~景色を見ながらゆっくり歩く散歩も効果的~

1.日常生活の中でできる有酸素運動~景色を見ながらゆっくり歩く散歩も効果的~

 有酸素運動の代表格であるウォーキングを効果的に行うには、通常の歩行よりも歩幅をやや広くし、やや早めの速度で歩くことがポイントです。一方で、加齢に伴って筋力が低下してくると転倒などのリスクもあります。自分の体力に合わせて、周りの景色を眺めて楽しみながら、ゆっくり時間をかけて散歩することも良いでしょう。食後に30分程度散歩を行うなど、ご自分の体調を考えながら行いましょう。

2.高齢2型糖尿病患者さんの自覚症状のない視覚異常

 糖尿病合併する糖尿病網膜症は、成人の失明原因の第1位で、毎年約3000人が網膜症の悪化によって失明しています。初期は自覚症状がほとんどなく、視力の低下や目の充血、痛みなどの症状が現れた時にはかなり進行している場合も少なくありません。 網膜症の合併を予防、進展抑制するには、血糖と血圧をしっかりとコントロールすることが重要です。また、自覚症状の有無に関わらず、糖尿病と診断されたら、眼科も”定期的に”受診するようにしましょう。

3月号 運動療法の「なぜ」がわかる~立っているだけでエネルギー消費量が上がる~

1.運動療法の「なぜ」がわかる~立っているだけでエネルギー消費量が上がる~

日常生活でエネルギーを消費するためには、同じ動作でも座ったままより、立って行う方が効果的です。イギリスで行われたデスクワークの人を対象とした研究では、椅子に座ったまま仕事をする時と立ったまま仕事をする時とに分け、昼食後約3時間の血糖値を比較しました。その結果、立ったままで仕事した時の血糖値は、座ったまま仕事をした時の4割程低い数値だったことが分かりました。いつもは座って行っている作業も立ってできる部分は立つように心がけてみてはいかがでしょうか。

2.高齢2型糖尿病患者さんの自律神経障害による膀胱の働きの低下 

高齢2型糖尿病患者さんでは、血糖コントロールの不良な状態が続くと、排尿回数が1日に1~2回程度に低下することがあります。これは高血糖により感覚神経や膀胱を司る神経が障害され、尿意を感じにくくなるためです。
また、膀胱の収縮力が低下して膀胱が増大すると排尿後も膀胱内に尿が残り、これが原因で尿路感染症などにもかかりやすくなります。
このような症状を引き起こさないためにも、適切な血糖コントロール目標や生活習慣の改善方法を主治医の先生と相談しましょう。

2月号 運動療法の「なぜ」がわかる~有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが効果的~

1.運動療法の「なぜ」がわか~有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが効果的~

2型糖尿病患者さんがインスリン抵抗性を改善するには運動を継続することが重要です。この運動にはジョギングやウォーキングなどの有酸素運動と筋力を高めるレジスタンス運動があります。有酸素運動は、身体を動かす筋肉のインスリン作用つまり、筋肉の質を改善する一方、レジスタンス運動は体全体の筋肉量を増やしつつインスリンの効き目を良くします。互いにその意義が異なりますので、この2つの運動を組み合わせながら継続することが血糖をコントロールする上で重要です。

2.高齢2型糖尿病患者さんの頭痛は合併症の前兆の可能性も

高齢2型糖尿病患者さんが頭痛を感じた時は、脳卒中など重大な合併症の前兆の可能性もあることに留意しなければなりません。とりわけ血糖コントロールが不十分な患者さんでは、動脈硬化が進行していることもあり、血圧も上昇しがちで、血圧が正常な人に比べて脳卒中を発症する危険性が高くなります。このような重大な合併症を未然に防止するためには、適切な血糖コントロールを日常的に行うことが大切です。主治医の先生と相談しながら、ご自身に合った治療を続けて、適切に血糖をコントロールしましょう。

1月号 糖尿病による下痢や便秘?

1.運動療法の「なぜ」がわかる~継続的に運動することが筋肉の量と質を改善し、血糖の上昇を抑える~

2型糖尿病は、血中のブドウ糖を筋肉に取り込み、血糖を調整するインスリンが十分に働かないことが原因の1つです。オフィスワークの方など運動不足の状態が続くと、筋肉量が低下するとともにインスリンの効き目(筋肉の質)が悪くなります。実際、安静にしたままの人と定期的に運動をした人を比べると、運動した人の方が血糖値が低くなることが分かっています。つまり継続的に運動することが、筋肉の量と質を改善させ、血糖コントロールを良好に保つ秘訣の1つと言えるでしょう。

2.糖尿病による下痢や便秘?

慢性的な高血糖が続くと、自律神経障害が起こり、下痢と便秘に悩まされることがあります。これは高血糖が原因で消化活動に関係する自律神経が障害されるために起こる症状です。ひどい場合には何回も下痢と便秘を繰り返すこともあります。このように高血糖状態を放っておくと日常生活に大きな影響を与えてしまうこともありますので、血糖を良好にコントロールすることが重要です。主治医の先生と相談しながら、ご自身にあった食事、運動療法を実践し、また、おくすりをもらっている場合には、服薬回数、用量、時間を守って服用するようにしましょう。

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