糖尿病患者にがんの発症が多いわけ
今や日本人の、2人に1人ががんになり、6人に1人が糖尿病やその予備軍となっている時代です。一見、全く関係なさそうなこの2つの病気ですが、日本人の糖尿病患者の死因で最も多いのはがんです。糖尿病学会の調査によりますと、2001~2010年次の調査では、糖尿病患者のがんによる死亡は38%にのぼり、2位の血管障害(腎障害・虚血性心疾患・脳血管障害などでこれらは糖尿病の合併症として恐れられているものですが)による死亡の14%をはるかに上回っています。 特にリスクが高いのは結腸がん、肝がん、膵がんなどです。
その原因の1つは加齢、男性、肥満、運動不足、不適切な食事、過剰飲酒、喫煙などの危険因子ががんと糖尿病で共通していることによります。それ以外にも2型糖尿病に特徴的な高インスリン血症、高血糖、炎症ががんの発症につながっていることも考えられています。肝がんに関しては、糖尿病の人に多い脂肪肝が発症の基盤となることがあります。薬剤では以前インスリン製剤とがんの関連が疑われましたが、現在それは否定されております。
暴飲暴食やストレスもなく、特に思い当たる原因がないのに、なぜか血糖コントロールが悪化してきた場合には、がんが隠れている場合があります。CT検査や大腸内視鏡検査などによる精査も必要となります。 いずれにしてもがんの早期発見は一筋縄ではいかないものです。糖尿病患者は血糖のコントロールだけではなく常に健診、ドッグなどを受ける努力も怠らないようにもしたいものです。