質の良い睡眠をとるために
夜間トイレに何度も起きてしまったり、寝床に入ってもなかなか寝つけなかったりと当院に通われている患者様の中でも、睡眠障害を抱える方が多い印象を受けます。そのため、やむを得ずに睡眠薬を使用される方も少なくありません。
しかし睡眠薬には、 筋弛緩作用があり夜間および日中の転倒を起こしやすくなります。また、記憶力の低下、認知症の悪化が知られてます。 さらに問題なのは依存性です。なかなか止めれない、それどころかだんだん薬が強くなっていく傾向さえがあります。
そこで今回は、できる限り睡眠薬に頼らず、質の良い睡眠がとれるような対処法についてお話しします。
まず初めに、睡眠は環境や生活習慣に影響されていることが多く、自分の生活スタイルを見直してみることが良いでしょう。2013年に発表された「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」でも、薬物にたよらない不眠症の治療として、次の8つのポイントが挙げられています。
①定期的な運動
適度な有酸素運動は寝つきが良くなり、睡眠が深くなります。
②寝室環境
快適な就床環境のもとでは、夜中の目覚めは減少します。寝室を快適な温度にたもつことの他に、遮光カーテンも有効です。
③規則正しい生活
規則正しい食生活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。また、就寝時に脂っこいもの、胃もたれするものは避けましょう。
④就寝前の水分の摂りすぎに注意
就寝前に水分を摂りすぎないようにすると、夜間のトイレ回数が減ります。
⑤就寝前のカフェインに注意
就寝4時間前からはカフェインの入ったものは控えましょう
⑥就寝前のおさけは逆効果
睡眠薬代わりの寝酒は逆効果です。眠りが浅くなり、夜間の目覚めが増えます
⑦就寝前の喫煙は避ける
煙草に含まれるニコチンは精神刺激作用があります
⑧寝床での考え事は避ける
寝つきが悪くなり、浅い眠りにつながります
以上の8つのポイントと自分の生活習慣を照らし合わせて、思い当たることはなかったでしょうか。「睡眠」も食事や運動とともに重要な生活習慣として認識していきましょう。
最近は筋弛緩作用や健忘作用、依存性がほとんどない睡眠薬も出ています。今までの薬もこれに変えることもできます。担当の先生と相談してみるとよいでしょう。