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骨粗鬆症の予防と治療に栄養は大事!

[2021.05.15]

 骨粗鬆症の治療と聞くと、多くの人が薬物治療を思い浮かべます。もちろん骨脆弱性骨折を起こした方の薬物治療は必須ですが、それだけでは不十分です。やはり、骨をつくる基となる栄養素の摂取は欠かせません。

 また近年、高齢者においては独居や核家族化、交通面や身体機能面(胃や腸などの消化機能の低下・噛む力の衰え・食べることへの興味の薄れ)などのさまざまな背景から食事の量が減ることで、体を動かすために必要なエネルギーやたんぱく質、健康維持に必要なビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足した、低栄養という問題もあります。

 そのため骨粗鬆症に関する栄養評価とともに、低栄養に対する評価を行い、適切な栄養指導を行い、指導を受けることが骨粗鬆症治療において重要な位置を占めています。

 骨を丈夫にするために「カルシウムの摂取が大切である」と認識している人は多くいます。しかし健康な骨を保つためにはカルシウムだけでなく、他の無機質、ビタミンなどを含んだ栄養素を過不足なく摂取することが必要です。

 カルシウムは骨の重要な構成要素であり、骨粗鬆症予防のためには1日700~800mgの摂取が推奨されています。カルシウムを多く含む食品として牛乳・乳製品、小魚類、大豆製品、野菜類があげられますが、食材ごとに消化管からの吸収率は異なります。利便性や吸収率なども考慮し、毎日継続して摂取できる食品の選択も含めた指導が必要です。

 ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進します。カルシウムと同時に摂取することで骨折予防効果が期待でき、1日あたり400~800UI(10~20㎍)の摂取が推奨されます。また、紫外線に当たることで皮膚内のコレステロールの一種であるプロビタミンDからビタミンDが合成されます。そのため日光浴にも意義があり、夏は木陰で30分、冬は1時間程度、行うことが推奨されます。

 ビタミンKは丈夫な骨づくりに不可欠で、骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があります。1日あたり250~300㎍の摂取が推奨されます。

 またそのほかにも、体内においてさまざまな酵素反応や、エネルギー生産、骨形成に関与するマグネシウム、骨のコラーゲン形成に欠かせないビタミンC、骨質を支えるとされるビタミンB6やB12などが大切です。

 このように、多くの品からバランスの良い食事を摂ることが骨の健康には必要です。骨粗鬆症治療において、骨の材料となる食事の重要性を知り、食生活の骨への影響に目を向けてみてはどうですか?

参考文献

糖尿病ケア 2020年8月号 骨粗鬆症撲滅委員会 MCメディカ出版

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