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カーボ・ラストが肝心要

[2020.08.13]

 血糖コントロールを改善して、合併症を予防するために、食後の高血糖を抑えることが重要です。そのため最近注目を集めているのが「食べる順番」ダイエットです。特に食べる順番ダイエットは、べジ・ファースト(野菜を最初に食べるの意味)の名ですでに多くの人達に知られてます。日本糖尿病協会も推奨してる位です。

 食べる順番ダイエットのきちんとした報告は3つあります。最初の報告は大阪府立大学のグループのものです。2型糖尿病患者を対象にして、1日3食の試験食を野菜→主菜 ( タンパク質 ) →主食 ( 炭水化物 ) の順に摂取した日と、主食 ( 炭水化物 ) →主菜 ( タンパク質 ) → 野菜の順に摂取 した日の血糖変動のちがいを 連続血糖モニタリングという方法を用いて調べてます。1例として図のような結果を示してます。 炭水化物から摂取した日は、毎食後の血糖値のピークが 3食とも300mg/dl を超えましたが、同じ患者さんが野菜から摂取すると、 食後血糖値が 100から 150mg/dl も下がってます。食べる順番ダイエットを指導した群と指導しなかった群で長期の血糖コントロールをみると、やはり指導された群で明らかなHbA1cの低下を認めてました。

 

 2番目の報告は関西電力病院のグループのものです。米→魚・肉、魚→米、肉→米という食べ順の比較がなされ、米→魚・肉に比較して、魚→米であっても、肉→米であっても、食後の血糖上昇が抑制されました。その際インスリン分泌の上昇も抑制され、更にGLP-1、GIPといった消化管ホルモンの分泌上昇を認めました。胃排泄遅延が魚→米、肉→米といった食べ順で生じ、そのことが血糖上昇の抑制に繋がったと考えられます。 

 

 

                      

 3番目の報告はアメリカのウェイル・コーネル医科大学のグループからのものです。メトホルミン投与を受けている2型糖尿病患者さんが対象で同じ試験食をクロスオーバーで3パターンの食べ順で摂取してもらいました。その3パターンとは

     パターン1(カーボ・ファースト):パンとオレンジジュースを食べ、10分後に鶏肉とサラダを食べる。

     パターン2(カーボ・ラスト)  :鶏肉とサラダを食べ、10分後にパンとオレンジジュースを食べる。

     パターン3(サンドイッチ)   :鶏肉とサラダをパンにはさみサンドイッチを作り、サンドイッチ半分とオレンジ

                      ジュースを食べ、10分後に残り半分のサンドイッチ、オレンジジュースを食べ

                      る。

というものです。                                                                                                      結果は、図の通りでして、カーボ・ラストの食べ順では、カーボ・ファーストあるいはサンドイッチより、血糖上昇が明らかに抑制されました。

 このようにして日本人であっても西洋人であっても食べる順番ダイエットが血糖管理に有用であることが分かりますし、そして肝心なことは野菜→主食であっても、魚→米/肉→米であっても、サラダ→パンであっても、カーボ・ラスト(炭水化物を最後に食べる)が共通してあることです。毎日の食事で野菜 → 肉魚 →ごはんの順にきちっと食べるのも味気ないことですし、現実に1品料理として分けにくいことも多々あります。最後に糖質を食べることを心掛けていれば簡単ですし、それで十分といえるでしょう。カーボ・ラストが肝心要ですね。

 

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