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冬の入浴にご注意を

[2023.01.29]

今年1月も厳寒の冬真っ盛りという感じで、この寒い時期の入浴は1つの楽しみでもあるものです。

 そんな楽しい入浴も気を付けなければならないことがあります。皆さんはお風呂の最中、頭が「くらくら」すると感じたことはありませんか? この「くらくら」が曲者でして、これが強くなるとボーっとしてしまい意識が遠いてしまうことに繋がります。このようなことは熱いお湯に長い時間つかり続けた場合に起こりえます。その結果、浴槽内で脱力して顔面がお湯につかり溺水するという状況になります。また、顔面がつからなくても脱力の為にお湯から出られなくなることでさらなる体温上昇を招き、熱中症を招いてしまう場合もあります。

気を付けなければいけませんですね。

 

最近入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなるという不慮の事故が増えています。

 令和元年の浴槽における死亡者数は4900人で、平成20年の3384人と比較すると約10年間で約1.5倍に増加してるそうです。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、交通事故死亡者数2150人のなんと2倍以上です。毎年11月から4月にかけて多く発生していと言われてますのでこの冬場こそ 入浴時に気をつける必要があるでしょう。

 日本の住宅は欧米の寒冷地の住宅と比べて、断熱性能が低いことが多く、手足をはじめ身体が冷える場面が多いのです。熱いお風呂に入って身体を暖めようという欲求が高まります。冷えた身体が十分にあたたまったと感じるようになるまで、熱いお湯に長くつかってしまいがちです。また42℃程度と欧米諸国に比べ高温のお湯に、肩まで浸かるという日本人特有の入浴習慣もわが国で事故の発生頻度が非常に高いことの原因と考えられます。

 

 日本法医学会企画調査委員会の浴槽内死亡事例の報告書では入浴中の急死の三大原因を虚血性心疾患と脳血管障害と溺死をあげてます。溺死は多く浴槽内での意識消失により溺水を吸収し窒息死すると考えられてます。この意識消失の原因については、これまでに、①熱中症に陥り意識障害を起こし溺没するという説、②浴槽から出る、体を洗うなどの動作により、血圧変動が大きくなり一過性脳虚血発作が起こるとする説、③入浴中は座位であること、高温環境で血管拡張を来しやすいことから、低血圧が誘発されて神経調節性失神に至るという説、④不整脈が関与するという説が挙げられてます。いずれにしても長い時間の熱いお風呂という入浴法が関与してると考えられますし、ヒートショックという現象も関わっています。

 ヒートショックとは最近よく使われる言葉ですが、気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることを言います。この血圧の乱高下に伴って、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離などの病気を引き起こしてしまいます。ヒートショックは冬場に暖房の効いたリビングから脱衣所に移動し、浴槽に入るときなどに起こります。リビングから脱衣所に移動した際には、寒さに対応するために血圧が上昇します。そこで衣服を脱ぎ、浴室へ入るとさらに血圧は上昇します。その後、浴槽に入ると、急に身体が温まるため、血圧が下降します。特に10℃以上の温度差がある場所は危険です。

 

それでは入浴時の事故を防ぐためにはどんなことに気を付けたらよいでしょうか。

 先ず、熱中症による意識障害を防ぐには体温が38℃を越えないことが重要です。人の体形により多少の差はあるものの、42℃のお湯に10分間入浴した場合に体温は38℃近くに達することがいわれてます。また、つかるお湯が熱いほど体温は早く上昇します。厳寒の中では、手足をはじめ身体が冷え切ることが多くなります。 熱いお風呂に入って身体を暖めようという欲求が高まります。冷えた身体が十分にあたたまったと感じるようになるまで、熱いお湯に長くつかってしまうというわけです。

できるだけ温度計やタイマーなどを用意しておいてお湯の温度、入浴時間を管理すると良いでしょう。

      

ヒートショック対策としては、入浴前に脱衣所や浴室を温めておくことです。

浴室に暖房設備がない場合は、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」、「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、ふたを外しておく」できるだけ浴室内を暖めて寒暖差が少なくなるように工夫しておきましょう。

図 

浴槽から急に立ち上がらないこと。

 入浴中には体に水圧がかかっています。その状態から急に立ち上がると体にかかっていた水圧がなくなり、圧迫されていた血管が一気に拡張し、頭に行く血液が減ることで脳が貧血のような状態になり、意識を失ってしまうことがあるからです。浴槽から出るときは、手すりや浴槽のヘリなどを使ってゆっくり立ち上がるようにしましょう。

食後すぐの入浴や、飲酒後の入浴は避けることです。

 高齢者は、食後に血圧が下がりすぎて食後低血圧を起こし失神することがあります。食後すぐの入浴は避けましょう。

飲酒によっても一時的に血圧が下がります。飲酒後はアルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。

 

お風呂に入る前に、同居する家族にひと声かける

 入浴中に体調の悪化などの異変があった場合は、家族に早く発見してもらうことが大切です。そのためにも入浴前に家族に一言かけてから入ると良いでしょう。

そしてまた高齢者が入浴してる時は家族の方はその動向に注意してやって欲しいものです。

 

特に高齢者は「自分は元気だから大丈夫」と過信せず、「自分にも、もしかしたら起きるかもしれない」と意識することが大切です。また、本人だけでなく家族や周囲の方が一緒に注意することも大切です。これから更に寒さが厳しくなる折り、温度差による事故のリスクが高まる可能性があります。最近では気象予測情報からヒートショックのリスクの目安を示す「ヒートショック予報」も出されてます。これ等も参考にしながら、不慮の事故は絶対防ぐようにしましょう。

 

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