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腸内細菌の糖尿病にまつわる話

[2019.03.06]

  ヒトの腸管には100兆個以上の細菌がすみついて腸内細菌叢(フローラ)を形成しています。ヒトの細胞数が60兆個といわれていますので、腸管内には人体の総細胞数よりも多い数の細菌が共生していることになります。

 

 この腸内細菌の状態がヒトの健康状態や疾患の発症に大きく関わっていることが、近年の研究で明らかになってきました。糖尿病や肥満との関連性についても、ある種の微生物の口からの投与が腸管内で短鎖脂肪酸という物質を作り出し、GLP-1を分泌増加させインスリン分泌を改善するなど、いろいろな報告がされています。高血圧や脂肪肝、動脈硬化との関連も指摘されています。短鎖脂肪酸とは、人では酢酸、酪酸、プロピオン酸などで脳や消化管、脂肪組織に働きかけ、食欲抑制の調節や肥満防止、GLP-1の分泌を促し、糖尿病の予防や改善に寄与するものと考えられてます。

 

 ところで腸内での作用を願って口にする菌をプロバイオティクスと呼びます。プロバイオティクスは菌として腸へのさまざまな効果はありますが、腸内細菌としてはほとんど定着しません。したがって、ヒトがもともと持っている腸内細菌の量やプロフィールはほとんど変わりません。もしも変えられる因子があるとしたら、それはやはり食事しかなく、カギを握るのが水溶性食物繊維です。腸内細菌は水溶性食物繊維を単糖に分解してエネルギー源として活動するからです。これを多く含む食材は未精製穀物、植物繊維、根菜、緑黄野菜、海藻、キノコ、豆類、ナッツなどです。これらは日本では古来より食べられてきた食材ですね。これらを多く摂りたいものです。 なお、ぶどう糖果糖液糖や砂糖を多く含む乳酸菌飲料で血糖コントロールを悪化させる人がいます。気をつけましょう。

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