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糖尿病ライフ

糖尿病の運動療法

仕事が少なくなって体を使わなくなったら血糖が上昇した、ここの所天候が良くなってよく歩くようになったらHbA1cが下がったというような経験は誰しもあるものです。確かに運動は血糖の改善効果があるのです。

食後30~40分程運動を行うと、食後60~95分にわたって血糖の低下が持続したという成績があります。筋肉が直接糖を取り込むためです。また運動を続けていると肝臓や筋肉の脂肪が少なくなり、その結果インスリンの効きが良くなり、糖の取り込みが大きくなるということも原因です。

具体的には、週3~4回、1回49分でHbA1c -0.7%の血糖低下がデータ上は期待できます。多くの身体活動のガイドラインでは、中等度の運動(やや楽である~ややきつい)をすくなくとも週150分行うことが勧められています。

1日にすると約20分、2000歩となり、現状よりその量だけベースアップすることが目標となります。歩数計を携帯することにより歩数が27%増加するという報告もあり、時間だけの目標値だけでなく歩数計や活動量計を有効に活用することにより、より良い治療効果を得ることができます。

運動量に応じて効果も大きくなるので、最終的には1日総歩数8000~10000歩を目標にしたいところです。

糖尿病とがんの意外な関係

日本人の2人に1人はがんになる時代ですが、糖尿病患者さんも例外ではありません。

日本での糖尿病患者さんの死因は、直接糖尿病とは関係ないと思われるがんが1990年代から第1位となっています。もとより糖尿病本来の合併症である血管合併症を上回っていることは注目に値します。これはひとえに糖尿病によってがんのリスクが増大するからに他なりません。

よって糖尿病治療の最終目標が“健康な人と変わらない日常生活の質の維持”、“健康な人と変わらない寿命の確保”である以上がんの予防、治療に無関心ではいられません。

年齢・性別の他に肥満、運動不足、喫煙、アルコール多飲などの生活習慣は糖尿病とがんに共通する危険因子であり、糖尿病患者さんにがんが多い1つの理由と考えられます。また膵がんなどではこれが原因で糖尿病を発症することもあります。

しかし最近の疫学調査ではこれらの要因を調整してもなお、糖尿病患者さんはがんになりやすいことが分かってきました。欧米の報告では、糖尿病患者さんはそうでない人に比べて肝がん、膵がん、子宮がんのリスクが2~2,5倍、大腸がん、乳がんのリスクが1,2~1,3倍高くなることが示されました。日本糖尿病学会、癌学会の報告でも同様な傾向でした。

このような糖尿病による発がんリスク増大のメカニズムは、1つにはインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症の影響が想定されています。糖尿病の遺伝的素質を背景に、運動不足や過食によって内臓脂肪が蓄積しインスリン抵抗性が高まり、高インスリン血症をきたす訳です。
インスリンは細胞増殖因子でありがんの発生に関与している可能性があります。また高血糖そのものもがんリスク増大と関係していると考えられています。高血糖は酸化ストレスを高め、DNA損傷をきたします。

このようなことから、糖尿病患者さんは年齢・性別に応じて根拠のあるがんのスクリーニング検査を受けることが大切と言えます。更に、糖尿病の治療として食事療法や運動療法、禁煙などに取り組むことが即ち、がんの危険因子を減らすことになり、将来のがんのリスクを軽減することになるのです。

お酒は飲み方に工夫を

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一合の不幸は一合の不幸、一升の不幸は一升の不幸

酒飲みにとっては糖尿病ほどいやな病気はないでしょう。糖尿病と診断されたかといって、すぐに禁酒できる患者様はほとんどいません。少量のアルコールは精神の安定にもなり、虚血性心臓病を減らすとも言われてますが、酒飲みや酒好きは少量では収まらないのが常です。

仕事をしている以上、禁酒や節酒は無理

「仕事をしている以上、接待や付き合いでアルコールを飲むことは避けられない」と言う人は多いものです。しかし、その場に応じたいろいろな工夫、知恵、作戦で飲酒量を控えることは可能です。お酒が好きで、杯がすすみがちな人は、いっしょに十分量の水やお茶を飲んでおくのも効果的です。

アルコールはエンプティ(からっぽの)カロリー

アルコールにはエネルギー以外の栄養素はほとんどありません。従って、主食のかわりに、アルコールを飲むと云うのは頂けません。

蒸留酒 VS 醸造酒

蒸留酒、醸造酒でも同じエタノールあたりのカロリーは同じです。エタノールの量が問題と言うことになります。しかし醸造酒は糖分も含まれるため、どちらかと言えば蒸留酒のほうが好ましいのですが、どちらにしても適量の範囲ないにしておくが肝要です。

ごはんを見直そう

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食生活の欧米化などによって、日本の糖尿病患者は戦後50年間で50倍に増え、現在1,000万人とも言われてます。WHOは、このままだと2000年生まれの子供たちの4割が、将来糖尿病になると警告してます。かつて日本食は、そのバランスの良さから欧米各国の羨望の的だった時代がありました。今、ごはんが主食の日本型の食事を見直すときです。

食事は素材の味を引き出してくれるごはんを主食とすれば、動物性脂肪を抑え、野菜を多くするなど、バランスよく、適切な量を1日3回に分けてとることが出来ます。血糖値を上げる間食を控えるためにも、腹もちの良いごはんを見直してみましょう。

食べる順番も大事です。
野菜に多く含まれる食物繊維は、糖の消化管からの吸収を遅くして血糖上昇の立ち上がりを遅くします。ですから最初に野菜を多く食べ、次にごはんを食べるようにします。それから肉、魚などのおかずを食べます。それを順次繰り返して、ごはんがなくなれば、それでおかずも終わりとしましょう。

テレビを消して、そとへ出よう!

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テレビを見れば見るほど糖尿病になりやすくなる?!

お菓子や酒の肴をつまみながら、漫然とテレビを観続ける、誰にでも身に覚えのあることでしょう。米国の女性看護師のアンケート調査によりますと、テレビをほとんど観ない人(週に0~1時間)と比べて、テレビを観る時間が長い人ほど、糖尿病の発症率が高かったのです。1日あたり6時間以上の人の発症率は実に1.7倍にもなりました。

テレビを長時間観ることが糖尿病のリスクを高めるわけとして、テレビを長時間観ると、その分、運動する時間が少なくなる、テレビを観ながらものを物を食べるのでカロリー摂取量が多くなる。などが考えられます。消極的な習慣を減らすことが、大切です。

テレビを消して、そとへ出よう!

立っている時間をなるべく増やそう

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特別に運動する時間をつくらなくても、立つ、歩くなど、日常生活の動作でもエネルギーは消費されます。

やせている人ほど立っている時間が長く、エネルギーを多く消費する傾向があることも調査で明らかになってます(イラスト)。

まずは、毎日の動作を活発にするよう心がけましょう。

確実なことを実践しましょう

私たちは健康と食べ物のことを考えるとき、まず何をたべるかを考えます。ある特定の食べ物、栄養素、サプリメント、健康食品などです。しかし何を食べれば生活習慣病の予防になるのかについて、「実行すべき段階の情報」にまで達しているものは想像以上にずっと少ないのが現状です。

2003年度の世界保健機関の報告書をみても、特定の食品、栄養素、サプリメントはほとんど「可能性あり」、「根拠不十分」程度のところに分類されてます。その反面がん、循環器疾患、糖尿病のいずれでも、「確実」と判定されているものがあります。それは「過体重や肥満」によるリスクの上昇と「運動」によるリスクの低下です。

過体重や肥満は食べすぎ(エネルギーの過剰摂取)と運動不足(エネルギーの消費不足)が原因で生じます。食べすぎに注意してエネルギーの摂取を抑え、運動してエネルギーの消費を増やすことが大切と言うことです。

まだ研究段階程度の「可能性あり」「根拠不十分」の食品に血眼になるよりも、「確実」であると判定された“食べすぎないこと”、“運動すること”に励むほうがはるかに大切となります。たとえいくら健康に良い成分を含んだ食べ物であっても、食べ過ぎて肥満につながるようでは元も子もありません。

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