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食物繊維のはなし

[2024.01.22]

 皆さんは、食物繊維と聞くとどんなことをイメージしますか?便秘解消や血糖値、コレステロール値の上昇を抑えられる・・などでしょうか?意外と、細かい働きや作用について曖昧という声をよく聞くので、今回は食物繊維についてお話します。

そもそも、食物繊維とは?

 人のからだをつくり、エネルギー源となる炭水化物・脂質・たんぱく質は三大栄養素と呼ばれています。ただ、炭水化物の中には人の消化酵素で消化できず、ほとんどエネルギー源にならない成分があり、それを食物繊維と呼びます。炭水化物のうち、人の酵素で消化できるものを”糖質”、消化できないものを”食物繊維”と分類します。糖質は1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。脳や神経組織、赤血球などはブドウ糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できないので、これらの組織にとってはとても重要な栄養素です。

 一方、食物繊維は腸内細菌によって発酵・分解される際にエネルギーを生み出しますが、その量はすごくわずかです。以前までは、エネルギー源になりえない食物繊維は生理的意義の低い非栄養素とされてきましたが、近年様々な研究から、食物繊維の摂取量が多いほど脳血管疾患や2型糖尿病、がんなどの病気の発症リスクが低くなることが明らかになりました。今では食物繊維は健康維持に重要な役割を果たす栄養素として位置付けられています。

 

食物繊維にも種類がある!

 食物繊維には大きく水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分類されます。ですが最近は新しい分類の食物繊維も登場してきました。

 

水溶性食物繊維とは?

 主に海藻などに多く含まれています。腸内の善玉菌を増やしたり、短鎖脂肪酸の産生を助け、腸内環境を調える働きがあります。また、水に溶けてゲル化し、食事中の糖やコレステロールの吸収を遅らせ、食後血糖値や食後の中性脂肪の上昇を穏やかにする働きもあります。

※こんぶ わかめ こんにゃくいも 大麦 ライ麦 切り干し大根 など

 

不溶性食物繊維とは?

 大腸の粘膜を刺激して水分や粘液の分泌を促し、便のかさを増やしたり、軟らかくする作用があります。不溶性食物繊維は便秘解消に役立つ成分ではありますが、過敏性腸症候群の方はかえって症状が悪化するおそれがあるため、便秘解消を目的とした食物繊維を摂る場合は自分に合うか様子を見ることが大切です。

※玄米 ごぼう れんこん キャベツ 大豆 納豆 キノコ類 など

最近の注目株”発酵性食物繊維”

 水に溶けるかどうかではなく腸内細菌によって発酵されやすいかどうかという観点から食物繊維を分類する考え方もあり、近年注目を浴びています。腸内細菌によって発酵されやすい食物繊維は”発酵性食物繊維”と呼ばれており、β-グルカンやペクチンなどの水溶性食物繊維、ヘミセルロースなどの不溶性食物繊維、レジスタントスターチ(難消化性デンプン)などがあります。

 腸内に棲む有用菌が発酵性食物繊維を発酵・分解すると短鎖脂肪酸という酸が作られます。短鎖脂肪酸には有害菌の増殖を抑えたり、腸のバリア機能を高めたりする作用があります。また、発酵性食物繊維が肥満予防に役立つ可能性を示唆する報告もあり、マウスを用いた研究によると、大麦に含まれるβ-グルカンのうち、発酵性の高い低分子量のβ-グルカンを摂取すると短鎖脂肪酸の産生が増加し、糖や脂質の代謝が改善する可能性があるとされています。

 

発酵性食物繊維の中の水溶性食物繊維

・オートミール(β-グルカン)

・キウイ(ペクチン)

・ごぼう(イヌリン)

・バナナ(オリゴ糖)

・海藻(アルギン酸) など

 

発酵性食物繊維の中の不溶性食物繊維

・全粒粉、玄米(ヘミセルロース)

・豆、冷ご飯(レジスタントスターチ:難消化性デンプン) など

 

 このように、食物繊維の機能は多岐に渡るため、種類によらずバランスよく摂取することが大切です。厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人(18~64歳)が1日に摂取すべき食物繊維の目標量は、男性で21g以上、女性で18g以上とされています。国民健康・栄養調査によると、30代の1日の食物繊維摂取量は男性18.3g、情勢15.9gとなっており、成人の多くは食物繊維が不足気味だと考えられています。目標量を達成するには、普段から意識的に食物繊維が豊富な食品を摂ることが大切です。

 

 今や”第6の栄養素”と言われている食物繊維です。健康寿命を延ばす上でも欠かせなくなっています。今一度、普段の食生活を振り返り、足りているかな?バランスよく摂れているかな?などチェックしてみましょう。年末年始は少し食べすぎちゃったな・・なんて方はぜひ!食物繊維を積極的に摂って、余分な糖や脂質を排泄しましょう!

 

参考・引用文献

https://www.mdc.co.jp/contento/dietaryfiber/detail-1.html

https://www.hakubaku.co.jp/omugi-lab/maintenance/hiber/

 

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