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外食・中食で上手に血糖コントロール

[2024.04.13]

 

 独身者や高齢者が増えている現在、「外食・中食」は避けて通れません。仕事や介護で忙しく、自炊をする時間や気持ちの余裕が取れない方も多いです。そこで今回は、自炊をしない(できない)方に対して、どのように外食・中食を利用すればいいのか、また工夫次第で”ここまでできる”という糖尿病療養食(一般的な健康食)への展開を紹介します。日々の食事に役立ててみて下さい。

 

外食・中食のデメリット

 外食・中食は、糖尿病食としてどこにデメリットがあるのでしょうか?これらの商品は「確実に売れて利益が出ること」が最優先され、商品開発されています。インターネットなどの売れ筋ランキングを見ると、リピートしたくなるメニューで、おいしくて食べ応えがあり、価格の割に満足感が得られる物が多い傾向にあるようです。利益率を上げるには、必然的に野菜やたんぱく質性食材が少なくなってしまいます。したがって、栄養的にはどうしても炭水化物と脂質の割合が高くなり、食塩が多くなります。このような特徴のある外食や中食のメニューを空腹感や嗜好だけで選ぶと栄養バランスを崩してしまうことになります。

 そのようななか、最近では健康志向に配慮してヘルシーな商品も多数開発されていますが、上手に活用できているでしょうか?加工食品については「食品表示法」によって栄養成分表示が義務化され、栄養成分を確認して買い物ができるようになりました。しかし、せっかくの情報も知らずにいる方や、空腹のまま急いで買い物をしてしまい、じっくり栄養バランスを吟味する余裕がないという方もいます。また、レストランや食堂では、味を楽しむことを優先するあまり、栄養成分表は無視されがちです。居酒屋では、利益率の高いお酒を売るために料理は脂質が多く塩味が強めの、水分摂取を促すような味付けがされています。ほとんどのお客さんは、アルコールによる食欲増進効果で食べ過ぎ・飲みすぎの罠にはまってしまいます。このように外食や中食には、栄養バランスを崩すトラップが至ることろに潜んでいます。

 エネルギー量はチェックしていても、炭水化物の中身である糖質・食物繊維・糖類が血糖値に及ぼす影響の違いやたんぱく質の量、脂質の種類と量が血糖値へ与える影響といったところまで栄養素の役割を理解してメニューを選ぶ方はほぼいません。また、エネルギー量を気にするあまり、食事の全体量が少なくなり、たんぱく質や野菜が不足している方も多く見受けられます。

 

外食・中食を選ぶコツは?

 まずは、自分の1食あたりの目標エネルギー量をしっかり把握しておきましょう。成人男性では1日約1800~2000kcal平均なので、1食あたり600~700kcalを目安にするといいでしょう。成人女性では1日約1400~1600kcal平均で、1食あたり500~600kcalを目安にしてみましょう。ただし、病状や年齢、生活活動量など個人差があるため正確なエネルギー量は主治医の先生か管理栄養士に確認してください。

 エネルギー量だけでなく、各栄養素の必要量も参考にして過不足を評価できるようになると、よりバランスの良い食事にすることができます。エネルギー量がオーバーしてしまうメニューは家族や友人とシェアしたり、低カロリーの食材と組み合わせると良いでしょう。

 食物繊維が多い野菜や糖類の少ない飲み物、n-3系脂肪酸を含む魚や油、脂質の少ない肉、大豆製品などの血糖スパイク(食後の急激な血糖値の上昇)を起こしにくい食材を取り入れることで、エネルギー量が多少オーバーしても血糖値には悪影響が出にくい食べ合わせになります。外食・スーパー・コンビニとあらゆるシチュエーションでどのように組み合わせると血糖値スパイクを起こしにくいか、衝動買いにならないようにあらかじめ「血糖値に悪影響が出にくく、好みの組み合わせパターン」を決めておくといいでしょう。

 食塩を摂りすぎないことも、糖尿病合併症予防にとって重要です。コンビニ食や惣菜は概ね食塩が多く、野菜が不足しています。手持ちの野菜を混ぜたり、食塩を含まない乳製品や果物を添えることで塩味を薄め、食物繊維やカルシウム、ビタミンを確保することができます。生野菜や冷凍野菜、果物や乳製品を常備しておくのも手軽な惣菜アレンジのコツになります。

 

コンビニ編

サンドイッチの朝食

 サンドイッチとサラダで朝からしっかり野菜が摂れます。ジュースではなく、豆乳や牛乳と組み合わせて糖質を抑え、不足しがちなたんぱく質を補いましょう。コンビニ食では肉や卵からたんぱく質を摂取する機会が多いですが、豆乳を利用することで大豆たんぱくを簡単に摂取でき、鉄分の補給もできます。牛乳ではカルシウムの補給ができて、不足しがちなミネラルを補ってくれます。

 

パンの朝食

 朝食はパン派という方は、主食をレーズンパンにして、サラダチキンとカット野菜を組み合わせるのがお勧めです。クリームやチョコを使った菓子パンは高エネルギーになりやすく、食パンはマーガリンやジャムなど付けるものによってエネルギー過多になることがあるため、何も付けなくても食べやすいレーズンパンを選びました。パンの個数でエネルギー調整ができます。サラダチキンとミックスサラダを一緒に食べると、味がしっかりしてドレッシングがなくても食べやすくなります。サラダチキンは唐揚げよりも脂質が少なく高たんぱくな食品で、お勧めです。

 

おにぎりの朝食

 朝食はご飯派という方には、おにぎりと卵豆腐、野菜のたっぷり入ったインスタントみそ汁を組み合わせて食べるのがお勧めです。主食はおにぎりで、主菜のたんぱく源は卵豆腐、副菜で野菜を摂るために具沢山のみそ汁にしています。みそ汁を摂る目的は野菜なので、具を食べて汁は残すようにすると塩分を控えることができます。

 

うどんの昼食・夕食

 コンビニの麺類は種類が豊富にそろっていますが、うどんやそばはパスタや焼きそばに比べて、1人前食べてもエネルギーの過剰摂取になりにくいのでお勧めです。ただ、たんぱく質や野菜は不足してしまうため、野菜のおかずとチーズを組み合わせましょう。

ごぼうサラダは食物繊維も豊富で噛み応えがあり、満腹感を得られやすいです。急激な血糖上昇を防ぐためにも、サラダからゆっくりよく噛んで食べましょう。うどんは汁を残して、塩分を控えることも忘れないようにしましょう。

 

幕の内弁当の昼食・夕食

 幕の内弁当はおかずが色々入っているのがメリットです。ごはんは250g前後入っているので、適当な量(150~200g程度)にして、多いときは残しましょう。たんぱく質は魚などから摂れますが、やはり野菜が不足しがちです。小さくてもサラダなどの野菜料理を付けることをお勧めします。野菜料理が補えなかったときは、次の食事で野菜を追加して、多めに摂るようにします。お弁当の大きさによってエネルギー量やたんぱく質の量が違うので、あまり大きくないサイズのお弁当を選びましょう。

 

スーパーのお惣菜編

 

肉の揚げ物(酢豚)

 酢豚は、揚げた肉が竹の子などの噛み応えある野菜と一緒にあんで絡めてあるため、少量でも満足感を得られるメニューです。主菜を酢豚のような高カロリーの物にした場合、副菜は海藻サラダなどの脂質が控えめな低カロリーのメニューにします。

 惣菜コーナーの汁物は、具が少ないのが欠点です。そのため野菜やうどんを加えてボリュームアップを図るのがお勧めです。いわしはEPAを多く含み、動脈硬化予防に効果のある食材です。

 

魚の揚げ物(あじの南蛮漬け)

 南蛮漬けは、魚と一緒に野菜が甘酢に漬け込まれているので、減塩でもおいしく食べられるメニューです。市販の惣菜でも野菜を追加すれば、主菜として満足感を得られる量となります。主菜に揚げ物を利用しているので、副菜では油の使用を控え、食物繊維の多いひじきの煮物などを追加して食べましょう。

 

串焼き(ねぎま・つくね)

 串焼きは、部位によって脂質量が大きく違います。特に豚バラ肉や鶏皮などは脂質量が過剰になります。そのため、鶏肉の間にネギをはさんだねぎまと、脂質量が比較的少ないひき肉で作られたつくねをチョイスしています。副菜として、切り干し大根やもずく酢を取り入れます。これらは食物繊維が多いので、急激な血糖上昇を抑えてくれるので、最初に食べるようにするのがお勧めです。

 

インスタント食品編

 

冷凍パスタ

 パスタは脂質量の多いメニューです。パスタ単体では炭水化物と脂質しかないので、手間いらずの冷凍野菜やシーフードミックスを茹でて混ぜ、ボリュームアップと栄養価のアップを図ります。シーフードミックスは高たんぱくで低脂質なので、食事の前後で良質な脂質を多く含む青魚を取り入れるのもお勧めです。

インスタントスープ

 インスタントスープを利用すると、忙しい朝でも工夫次第で簡単にバランスのいい食事が完成します。インスタントスープには豆などが入った食物繊維が多いものがあるので上手に使いましょう。主食としてはおにぎり(鮭やツナマヨ)やトースト(チーズのせ)、どちらでも合います。納豆や乳製品を一緒に摂ると、腸内環境の改善効果があるので、こちらもプラスして摂るといいです。

インスタントの丼もの

 丼ものは、主食のご飯が多くなりがちです。日ごろのご飯の量(150g程度)で摂るように心がけましょう。ご飯の上にキャベツやレタスを切って乗せると、ボリュームアップします。インスタントみそ汁に冷凍野菜や乾燥野菜をプラスすると、野菜がたくさん摂れる副菜になります。

 

 

 このように、工夫次第で外食も中食も楽しむことができます。血糖値が高いから・・と言って食べていけないものはありません。

※病状により、制限しなくてはいけないものもあります。

ちょっとした意識を持って、楽しく食事をしましょう。千里の道も一歩から!癖づいていけたら頼もしいです。

 

 

 

引用・参考文献

糖尿病ケア 2017.1月号 外食&中食で”ここまでできる”糖尿病食事療法

笠岡市ホームページ健康福祉部健康推進課 栄養成分を上手に活用しましょう!!

新宿区ホームページ 食育・栄養 「1日に必要なエネルギーと栄養素の目安量」

バランス食生活 コンビニ活用術 ローソン研究所

健康保健リソースガイド コンビニごはんガイド

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