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食べ方の工夫をしてみましょう

[2022.02.19]

今回は食事の摂り方の工夫について話してみましょう。

 以前より糖尿病食事療法のスタンダードとして1日のエネルギー制限があります。

例えば1日1600Kcalとかいって体格、活動量に応じて食べるエネルギー量を決めて食事を作るのです。そのカロリーの範囲内でご飯、おかず(主に蛋白質、脂、野菜)を適切に割り当てていくものです。これはこれでいわば食事療法の基本であり、1度は頭に入れておきたいものです。

 そもそも日本人の一般の方たちのエネルギー消費量はどの位であるかを知っておくと良いでしょう。日本の食事摂取基準策定委員会の報告書によりますと糖尿病の好発年齢(40~80歳)では、体重1kg当たり30~40Kcalであったと報告してます。これは近年糖尿病学会で出された目標摂取基準、普通の活動量(座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む)では25~30Kcal/体重、強い活動量(力仕事、活発な運動習慣がある)では30~35Kcal/体重とほぼ同じカロリーです。一般健常者と糖尿病患者の目標値は同じということですね。

しかも、日本人のエネルギー摂取量は以前に比べて減って来てるのに、肥満.糖尿病は増えているという事実があります。 エネルギーを抑えること以外のことを考える必要がありますね。

そこで血糖コントロールを良くする為の食べ方の工夫を考えましょう。

 先ずはよく噛むことです。よく話に聞くのには、1口30回噛なさいとか20回噛みなさいとか指導されたということがあります。よく噛かむことは食物の消化吸収からして当然必要です。さらによく噛んで味わって食べることによって、脳内のヒスタミンやセロトニンが増加し、また摂食時の味覚、臭覚などの感覚刺激が満腹中枢を刺激し、満腹感が促進されます。噛むことによってGLP-1というインスリン分泌刺激ホルモンが増えるとも言われてます。ただ1口20回、30回噛むということは、相当に大変なことです。しかも、かめばかむほど本当に良いのでしょうか? ある1つの報告では1匙30秒かむ徹底咀嚼群と10秒かむ普通咀嚼群とを比較して、徹底咀嚼群の方が血糖が上昇してしまったというのがあります。ほどほどにしておきたいものです。

 よく噛むということと関係はしますが、大切なのは食事をとるスピードです。

早食いの人は肥満度が大きく、肥満である割合も多いです。10分で食べると(早食い)食後の血糖上昇は大きくなり、20分かけてゆっくり食べる(ゆっくり食い)とその血糖上昇は抑えられます。ゆっくりよく噛んで、また1口ごとに箸を置くぐらいにして食べてみたいものです。

 次は朝ご飯も食べましょうということです。 朝ご飯を食べないと肥満のリスクが4.5倍高まるとも言われてます。そして昼食後の血糖が上昇します。これは少し難しいですが遊離脂肪酸が抑え切れない為の脂肪毒性によるものです。

   朝食をべない原因の一つは夜遅いごはんがあります。夜遅くにたくさん食べると、朝食が食べれなくなります。朝食べないと代謝が上がらず太ります。これから逃れるためには、少しでも良いので朝食を食べてみることです。バナナとかヨーグルトなんかはどうでしょうか。慣れてきたら少し糖質もとってみましょう。また夕方早めにパンとかおにぎりなどの糖質を少しとってみるのも良いです。その分夜遅くの糖質を控えてみるのです。夕食のこってりした肉、揚げ物は控えめに。

 最後にべジファーストです。最近とみに知られるようになり、実行されてる方も多いかと思います。最初に野菜、後にご飯を食べると最初にご飯、後に野菜という場合より血糖の上昇が抑えられます。野菜に含まれる豊富な繊維質が消化管をコーテングして糖の吸収を穏やかにします。またインスリン分泌を促すGLP-1というホルモンを増やすとも言われてます。また別に、肉や魚などの蛋白質を先に食べたほうが、血糖の上昇が抑えられるとの報告もあります。この場合はGLP-1とGIPという両方のホルモンを増やし血糖上昇を抑えます。

 では実際に食べる順番としてはどうしたら良いでしょう。べジファーストの創始者梶山先生は、食べる順番療法として、最初に野菜を5分かけ食べ、その後に蛋白質のおかず5分かけ食べ、最後にご飯を5分かけて食べると血糖上昇が抑えるとしてます。これが本来の食べる順番療法ですが、中々味気ない食事になってしまいます。そこで次のようにすると良いでしょう。若い方は先に食物繊維の多い生野菜をたくさん食べその後おかず、ご飯をとります。また高齢の方は野菜を先に多くとるとその後が十分に食べれなくなりますので肉や魚のたんぱく質を先に摂るとよいでしょう。先に食べる野菜としては1日350g以上、毎食生野菜で両手1杯 、煮野菜で片手1杯ぐらい摂ると良いでしょう。丼物、ファーストフード、一品料理は余り良くないということになります。

 適量の油も血糖上昇を抑えます。オレイン酸の多いオリーブ油、キャノーラ油、なたね油を多すぎない程度に積極的に摂りましょう。魚の油も血糖上昇を抑える方向に働きます。

 最後に糖質制限食の問題がありますが次回また話させてもらいます。

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