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糖尿病性腎症でたんぱく質を制限するわけ

[2021.06.21]

 糖尿病性腎症(腎臓の毛細血管が血糖が高い状態が続くことで傷んでしまい、腎臓の機能が下がってしまった病態)は透析導入の原疾患の第1位です。自身のためにも、医療経済的にも、1人でも多く透析導入にならないよう防ぐことが重要です。

※外来血液透析では患者1人につき1か月あたり約40万円必要と言われています。

 

 糖尿病治療の目標は、良好な血糖コントロールを維持し、細小血管症(腎症、網膜症、神経障害)や大血管症(脳梗塞、心筋梗塞、足壊疽)などの合併症の発症・進展を阻止し、健康な人と変わらない寿命の確保、人生を送ることです。食事療法はすべての糖尿病患者の治療の基本です。糖尿病性腎症(DKD)では、その進展に合わせた食事(総エネルギー、たんぱく質、塩分、カリウム)が必要になります。

 たんぱく質はわたしたちの体の中で、エネルギー源と体の構成成分として使われ、そのあと水と二酸化炭素と窒素化合物(老廃物)が残ります。これらは腎臓を通って体外に排泄されますが、腎機能が低下すると排泄させる力が弱くなり、体内に蓄積されます。蓄積した老廃物は尿毒症(むくみや食欲不振、呼吸困難など)の原因となります。とくに進行した腎症において、たんぱく質の摂取を減らすことが、腎症進行の抑制効果や血液透析導入を含む腎代替療法への移行を遅らせる効果があると期待されています。

 

 主治医の先生に”腎機能が低下しています”と言われたことがある方は、一度自身の食事内容を振り返ってみてはいかがでしょうか。初期の場合では、少し気を付けるだけで腎機能の低下を抑制することができます。食事療法の目的は、透析導入を遅らせることではなく、いかに生命予後、特に健康寿命を確保するかにあります。糖尿病治療の目標と同等です。そして、たんぱく質の適正な摂取量は個人によって異なります。主治医の先生や管理栄養士に相談・指導のうえ、一緒に取り組んで行きましょう!

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