熱中症について
まだ5月というのに夏日になる日が増えています。今年の夏も熱くなりそうですね。今回は、熱中症の予防についてお話します。正しい予防と対処をして、体調管理に努めましょう。
熱中症とは?
高温環境やスポーツ活動による温熱ストレスがからだにかかると、ヒトは体温調節機能により皮膚血管を広げたり発汗したりするなどの反応を起こして、体温を一定に保とうとします。しかし、温熱ストレスがあまりにも強いと、脱水、塩分欠乏、高体温となり、さらには体温調節機能自体が破綻するといった障害が生じます。これらの障害の総称を「熱中症」と呼んでおり、「熱にあたったことによる疾病」を指します。
脱水と体温上昇
汗には、水、電解質(イオン:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)が含まれています。汗をかけば、これらのからだに必要な成分が失われることになります。ヒトのからだの水分量(体重比)は、乳児では70~80%、成人では約60%、高齢者においては約50%と年齢に応じて変動します。これらの体水分は、恒常性の維持機構により1日の中での水分排泄量と水分摂取量がほぼ同じになるようにバランスがとられています。しかし、暑熱環境における激しい運動時には、多量の発汗により水分の恒常性を維持できずに脱水状態に陥ってしまいます。脱水の目安は、体重に対する減少率で表します。体重1%の脱水は約0.3℃の体温上昇を招きます。体重の2%以上の脱水が起こると、体温調節機能や運動機能が低下します。熱中症を予防するために、体重の減少が2%以上を超えないようにすることが必要です。
熱中症になりやすい環境
気温・湿度が高いとき
風がないとき
日差しが強い・照り返しが強いとき
急に暑くなった時
熱中症になりやすい人
乳幼児
高齢者
肥満体型
日常の生活習慣を見直してみましょう
まず、運動習慣は体力を増加させます。からだを動かすための体力(行動体力)はもちろん、様々なストレスに対する抵抗力(防衛体力)も増加します。逆に、運動習慣のない人は熱中症にかかりやすいと言われています。
睡眠は疲労の回復には欠かせないものです。夜更かしや寝つきが悪いなどで睡眠不足になると、前日の疲労を取り除くことができず、体調不良を招く原因にもなります。暑い時こそしっかり睡眠をとるようにしましょう。
冷房は、暑い夏を快適に過ごすための必要不可欠な物となっています。最近では「エアコンがないと生きていけない」という、冷房依存度の高い人が増えています。夏の冷房は、わたしたちの生活を快適にし、暑い夏の夜にも心地よく眠りにつかせてくれるようになりました。しかし、昼間1日中冷房の効いた部屋から抜け出せずにいる人が、急に暑い屋外に出たりすると、暑さに対する抵抗力がないため、熱中症になりやすいと言えます。普段から、適度な暑さを経験しておくことが、抵抗力を高める手段です。しかし、いくら暑さに慣れるためと言っても、全くエアコンを使わないでいれば、室内にいても熱中症になってしまうことがあります。使う時間を決めたり、冷房の設定温度を上げたりするなど、使い方を工夫しましょう。