新型コロナ感染症の後遺症予防には運動を
新型コロナウイルス感染症の第8波も最近は感染者数はだいぶ落ち着てきた様子ですが、その後の後遺症で苦しんでいる方もだいぶ多いと聞いてます。当院においても咳が長引いてなかなか治らない、体がだるい等の症状を訴える方も時々見かけます。
このコロナ後遺症は一般的には疲労感・倦怠感、思考力・集中力の低下、呼吸困難・息切れ・咳、筋力低下、うつ病など、新型コロナの回復後もさまざまな症状がでます。感染後4週から12週以上に渡って症状が長引くこともあります。原因は様々なことが言われてますがはっきりとは分かってはいません。しかし起こしやすい危険因子はある程度分かっています。
齢が高くなる、肥満がある、喫煙するなどがコロナ後遺症の危険因子と言われてますが、中でも強力な危険因子として糖尿病が挙げられます。「新型コロナに罹患した人の10~30%が、新型コロナの症状が長期間残る可能性がある。感染後に残る症状は、新型コロナの症状が重篤化した人でより一般的にみられる。」という報告があります。
糖尿病のある方は、血糖コントロールが良好でないと、新型コロナ感染症が重症化しやすいです。重症なコロナ感染症を起こせばそれは後遺症の高リスクとなるからです。
そもそも糖尿病のある方は新型コロナに感染しやすいでしょうか。中国や米国での調査結果をみますと,感染者に占める糖尿病患者の割合はそれぞれの国の一般国民の糖尿病患者の割合と変わらなかったです。糖尿病だから新型コロナに感染しやすいということはないようです。しかし糖尿病のある方は重症化しやすいことは間違いないようです。これは一般の感染症でも同様です。血糖値が高い状態が続くと免疫細胞(白血球やリンパ球)の機能が落ち、ウイルスや 細菌を攻撃する力が落ち、これらを十分にたたけなくなるからです。しかし正確に言いますと糖尿病のあるからではなく血糖コントロールが良好でないと、重度の新型コロナに感染した場合に重症化するリスクが高いということです。糖尿病であっても血糖コントロールがある程度良ければそういうことはありません。過度に恐れず平素の血糖コントロールに努めていれば良いのです。
では後遺症と思われる症状が出た場合はどうしたら良いかを考えましょう。
色々と検査しても特にどこの臓器にも悪いところはないことが多く、その場合は対処療法ということになります。特効薬があるわけではないのですので。
米国で女性看護師の新型コロナ感染後前後のライフスタイルを調査した報告があります。新型コロナに長期にわたって罹った方であっても、感染前の生活スタイルがより健康的だった方は、日常生活に支障をきたすような症状があらわれるリスクは30%低くかったとのことです。また、生活スタイル良好の項目数が多いほど、リスク低下効果も高いということです。生活スタイルの項目とは健康的な体重、禁煙、運動の習慣化、十分な睡眠、質の良い食事、適度なアルコール摂取などです。すべて糖尿病の治療に求められるものですね。 健康的な生活スタイルと新型コロナの後遺症の軽減とが関連している理由として、慢性炎症と免疫調節不全のリスク軽減が考えられるということです。後遺症の原因として、新型コロナウイルスによる炎症が考えられています。運動をはじめとした生活スタイルの改善は血糖値を低下させるだけでなく、炎症反応を抑える因子の放出を促して、炎症を軽減させ、新型コロナの後遺症の症状の軽減に役立ちます。そして免疫機能を調節し改善させることにもよります。
一口に生活スタイルの改善と言っても漠然した目標では具体的に今、何よしたら良いか分からずなかなか実行に移れないものです。そこでお勧めなのは運動です。運動と言っても数キロメートルを走ったり、活発にウォーキングをしたり、水泳をするなど、本格的なスポーツをしなければならないわけではありません。家や職場の近所をゆっくり歩くだけでも立派な運動になります。運動はごく簡単なことから始めてもかまいません。慣れてきたら、運動量を少しずつ増やしていき、1週150分程度の持続的な運動、筋肉運動ができればなお結構です。
コロナウイルス感染症の感染者数は減ってきたとは言え第9波がまた訪れるのは間違いないでしょう。今流行っているオミクロン株は重症化率こそ以前のものより低いものの、感染力はむしろ高まっています。勢い後遺症対策は重要となって来ます。これに対する特効薬もありません。運動、生活スタイルの改善で血糖もコントロールし後遺症も起こさないようにして、起こしても最小限になるようにしておきたいものです。
コロナウイルス感染症の感染者数は減ってきたとは言え第9波がまた訪れるのは間違いないでしょう。今流行っているオミクロン株は重症化率こそ以前のものより低いものの、感染力はむしろ高まっています。勢い後遺症対策は重要となって来ます。これに対する特効薬もありません。運動、生活スタイルの改善で血糖もコントロールし後遺症も起こさないようにして、起こしても最小限になるようにしておきたいものです。