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やはり最初は体重コントロールですね

[2021.08.07]

やはり最初は体重コントロールですね

  2019年のJDDM(糖尿病臨床医の集まりである糖尿病データマネジメント研究会)の資料によりますと日本人の平均HbA1cは2002年度からは漸次減少していて2013年度には実に6.96%にまでなりました。しかしその後は徐々に僅かながら上昇に転じ、2019年には7.10%になりました。2011年から2014年にかけて画期的な薬剤であるDPP4阻害薬、GLP1受容体作動薬、そしてSGLT2阻害薬といった薬が次々と登場して広く使われているのにも関わらずです。 また同研究会の平均BMI(肥満度で22が標準体重に相当します)を見ますと2013年度で25.0、2019年度で24.8とほぼ横ばいでした。先に挙げた薬剤は体重減少作用があるのにも関わらずです。

 このことは、一つには食事の洋風化が更に進んだこと、砂糖や果糖の摂取割合が更に多くなったことなどが考えられますが、体重の減少なしには血糖の改善も難しいことを物語っています。160cmの人のBMIが標準の22と25の差は約8kgの体重差に相当するのです。また糖尿病の発症のリスクを考えてみても、遺伝的素因がない場合でも肥満があると7倍になり、遺伝的素因がある場合なんと13倍になるという報告があります。いかに体重が重要であるかが分かりますね。

    

 しかしまた良い話もあります。肥満研究の第一人者であります吉田俊秀先生の話です。BMI25以上が10年以内で、糖尿病を発症して2年以内であれば15%減量すると糖尿病もほぼ正常化できるというものです。体重80kgで肥満度の大きい人なら68kgにまで減量することに相当します。なんとかできないこともなさそうですね。更に日本よりも遥かに高度な肥満のひとが多い欧米の研究ですが、体重管理を1年間続けて15kg体重を減らすと46%、ほぼ半数の人が糖尿病が寛解してしまったという報告もあります。

 しかしこのような大半の人にとって到達が難しい減量でなくても、ほんの2~3kg減量することで血糖コントロールは改善するものです。これは体重60kgの人では5%の減量に相当します。このくらいなら頑張れそうです。肥満症診療ガイドラインでも、肥満(BMI体格指数25~35)の方の減量目標は、3~6ヶ月で体重3%以上の減量としてます。BMI35以上の高度肥満症の方は、現体重の5~10%が減量目標となります。もちろん2,3kgと言わず3か月で5kgとか半年で10kgとか目標を決めてみるのも良いでしょう。

 では2~3kg減量するにはどうしたら良いでしょうか。まずは食事、食べ方です。そして運動もです。

【食べる順番を変える】 野菜を食前に食べることで野菜の食物繊維が胃や小腸上部に張り付くように広がり、そのあとに食べる炭水化物、蛋白質、脂質の吸収を抑えることができます。その後に肉・魚・大豆などの蛋白質を、そして最後に炭水化物をとることで糖質の吸収を抑え、食後血糖値の上昇しにくくなります。その結果インスリン分泌も減り太りにくくなります。

【食後に体を動かす】食後に体を動かすことです。よく言われるように食べ始めてから30分後に運動を始めても良いのですが、食後に一度のんびりするとやる気を失いがちです。食べ終わったらすぐに動くという習慣をつけてしまいましょう。テレビを見ながら足踏みをするだけでもよいのです。

【一日の食事量の目安を知る】一日の食事量の目安も知っておいた方がよいでしょう。

標準的には女性は1日1200kcal、男性は1600kcalです。主食のご飯なら100~150g、うどんやそばは1玉が良いでしょう。パンなら5枚切り一枚です。 極端な糖質制限は体調を崩しますのでやらないようにしましょう。また蛋白質はしっかりとりましょう。おやつは果物が良いでしょう。握りこぶし大2つが目安です。

【運動】運動も大切です。1回2~30分程度のウォーキングをやってみましょう。できれば1日5000歩程度を目安に歩いてみましょう。歩くことが習慣になると、体重は自然と落ちやすくなります。 もちろんそれにスクワット、腹筋、腕立て伏せなどの筋肉トレーニングも自分の力の範囲内でやってみたいものです。

 

2~3kgの体重減を意識して日常生活をおくりたいものです。

 

 

 

 

 

 

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